民族衛生
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身体平衡機能から見た發育
福田 邦三宮川 清
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1952 年 18 巻 5-6 号 p. 103-111,A11

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抄録

(1)成長期にある児童生徒合計3956名を対象として平衡機能の発育を調査した.検査方法は開眼並びに閉眼のものとに,利き脚を用いての片脚立ちを行わせ,平衡が保たれた状態でその姿勢が維持される時間を計測した.
(2)結果を5秒未満,5秒以上10秒未満,10秒以上と3つの階級に分つて各年令に於ける割合を閉眼の場合で見ると年令の進むに従つて,5秒未満の犠牲に於て10秒以上の者が逐次増加している.10秒以上の者の割合は小学校1年生では25%程度であるが中学生に於ては何れの学年でも60%以上である.又10秒以上の者を総て10秒と見做して平均値を取ると開眼,閉眼何れの場合でも比較的綺麗な発育曲線が得られる(第5表)
第5表各学年の平均成績(全地域男女綜合)
(3)これ等の成績を地域別,性別に比較考察を行つたが,性別による差異は大したものでないが,地域別にみると可成りの差異が認められるがその原因は詳かでない.尚日常主に用いている履物との関係をみたが,小学生に於て両者に相当の関係がみられるが,中学生に対しては,その関係が成立せず,関係ありと断定するわけにはいかない.
(4)此の場合の発育曲線と,先に行つた急速反復運動力の発育曲線と比較してみると両者何れもneural typeの発育曲線に一致していることから,此の場合用いた平衡機能の検査法は,広義の脳幹を主心とした,比較的上位の中枢の機能発達を窺う手段になると思う.

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