民族衛生
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幼兒の急速反復運動能力の練習効果に関すろ研究
山川 純子
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1957 年 23 巻 3-4 号 p. 107-116,A8

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抄録

性・年令別の運動能力に関する研究は, 従来から数多く行われており, 種々の運動能力が年令と共に発達することが知られている. その発達の途上において, 特別の練習を一定期間継続させた時, 運動能力にどのような影響を及ぼすか, 又練習効果はどのようにして現われるかは興味深い問題である。
練習効果の研究は古く1857年にG. Th. Fe-chner1) によつて, 筋肉の練習による発達過程が研究されて以来, W.L. Bryan and N. Harter2) の送受信の学習曲線, W. F. Book3) のタイプライテイングの練習, E。工Swift4) の球取り, 速記, の練習等多数行われており, 最近ではD. KMathews等5) による筋力と持久力の交叉訓練法, RMHenfy等6) によるスキルと学習の年令差等の研究が行われている.
又我が国では楢崎7) 8) により明治41年に握力・用箸運動速度・指頭屈伸動作等の一連の実験が行われ, その後松井9) も握力・立巾跳・打叩運動・籠球自由投げ。輪投げ等の運動能力に関する練習効果の研究を行つた.
これらの研究の多くは一応発育の完了した年令の被検者について行つたものが多い. 筆者は運動能力発達の初期段階にある幼児について, 動作の巧緻性を主とした急速反復運動速度を示標として, 次のような観点に立つて練習効果の問題を解明しようとした.
1. 幼児の急速反復運動能力はどの程度まで発達するか.
2. 練習曲線はどのような消長を示すか.
3. 練習を一時中断した時, 練習効果は消失するか.
4. 右手の練習効果は左手に波及するか.
5. 幼児期における練習効果は年令による発達にどのような影響を及ぼすか.

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