民族衛生
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韓国における老令人口に関する研究
II. Cornell Medical Indexによる健康実
李 允淑
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1975 年 41 巻 5 号 p. 216-229

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抄録

 韓国高令者の健康実態をとらえるため,1975年6月15日より,同年7月30日まで,ソウル地域の家族同居者,60才以上の老人,男子393名と,女子341名,合計734名(以下A群とする)と,養老院に収容されている60才以上の老人,男子171名と女子216名,合計387名(以下B群とする)に対しCornell健康調査表を利用して健康指数を調べて見た所次のような結果を示した.1.年令別健康指数 全項目195に対する質問(身体項目154,精神項目41)による平均愁訴率は,年令別に一定な傾向は示していないが,生活環境とは大きな差を持っていた. 即ち,男女共にB群の平均愁訴率は,A群に比べて低い方であり,全体的にB群の方が健康状態が良好であって,このような傾向は肉体的面より精神的な面で著しい. 結果的に養老院に収容されている方が家族同居群にくらべて,もっと精神的に安定を得た生活をしているものと老えられる.2.教育背景別健康指数: 教育背景を大きく小学校卒業以下のグループと中学卒業以上のグループとに区別して,健康指数を調べて見ると,全項目にわたって,平均愁訴数,項目別愁訴様相,及び,無愁訴率等教育と関連した差を見出す事はできないが,住居別には顕著な差異を示しており,養老院収容群の健康指数が家族同居群に比べてはるかに良好であった.3.前職別健康指数 高令者達の前職を肉体的職業と精神的職業のふたつに分けてくらべると,平均愁訴数無愁訴率等において,その差は認められなかった.けれども,職業別指数の傾向分析で,特徴的な点はB群と,A群間の指数上の差が精神的項目で,過去に肉体的職業をもった経験のある高令者よりは,精神的職業にたずさわった高令者の方が,もっと著しい愁訴をもっていることを見出した.

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