民族衛生
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人の運動発達と遺伝
Napoleon WOLANSKI友成 久徳Anna SINIARSKA
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1980 年 46 巻 4 号 p. 169-191

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抄録

 運動は身体的特性や,生理的特性だけでなく,精神的な特性にも左右される.そして,それら三つの素質は適切なスポーツの技や戦法などの発達の基礎として考えられているということを心にとめておかなければならない. 普通,運動には,次の特性が考えられる.1)力,2)スピード,3)敏捷性,4)持久性,5)(疲労に対する)抵抗性.これら五つの運動の特性は,いくらかの基本的な特性の複合された表現型としてのみ扱われていると考えてよい.そして,その基本的な特性は又,それぞれ遺伝的に多因子的に決定されている. この論文に於て,我々は人間の運動発達と遺伝の問題を次の項目に従って論じた. 1) 方法論の問題 2) 運動能力の遺伝率 3) 遺伝とスポーッ 4) 非対称性と偏側性と運動発達 今迄に得られた最も重要な結果は次のような所見である. スピードと力を要求するスポーツでは先す第一に遺伝的に素質をもった人を選抜する方法がとられなければならないということと,ホモ偏種遺伝子の接合)の人よりもヘテロ(異種遺伝子の接合)の人の方が選択されたトレーニングに対する影響をうけやすいということである.

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