1979年9月から1980年1月までの期間に,インドネシア共和国北スマトラ州メダン市で病者を除く15歳から81歳までの男女の住民3,935名(男2,221名,女1,714名)の血圧測定を行った。 結果は次のようであった。 1)日本人の血圧の平均値と比較すると,収縮期血圧は低く,拡張期血圧は高かった。 2)収締期血圧と拡張期血圧との両方が,男女とも加齢に従って高くなっているが,女の場合は男ほどに高くはなっていなかった。 3)高血圧,境界域高血圧の出現の割合は男女ともに加齢とともに多くなっていた。この割合は女よりも男に有意に多かった。 4)信教の違いと,あるいはまた種族的な違いとで,血圧水準,あるいは高血圧者の割合に差異が認められた。例えば,血圧水準はキリスト教徒,あるいはバタ・カロ族では高いが,仏教徒あるいはジャワ族では低かった。 5)過体重者や肥満者の割合は,男より女に多かった。血圧水準と高血圧(者)の割合は,概して両性ともに肥った者には高かった。加えて,オーバーウェイトと血圧上昇との関係は男よりも女に強いように思われた。