本研究の目的は、小児がん患児の親が子どもの死に対してどのように向き合っていくのか、その内的変容プロセスを当事者の視点から明らかにすることである。子どもの看病を主として自分自身が、あるいは、配偶者と同等程度に担った親25名を対象にインタビューを実施し、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析を行った。その結果、それは、病気の進行と治療の限界による制御不能感と絶望感を感じながらも、最期まで希望を持続させていくプロセスであることが明らかになった。そして、そのプロセスにおいては、子どもの状態が厳しくなればなるほど、親子の闘病世界はより閉ざされたものになっていく【閉ざされたスパイラル】が形成されることがわかった。