保健医療社会学論集
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医療改革と財源選択(教育講演I,<特集>第34回大会(2008年度)首都大学東京)
二木 立
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2009 年 19 巻 2 号 p. 33-42

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抄録

日本医療は2008年に入って混迷の度を深めているが、2007年7月の参議院議員選挙での自由民主党の惨敗と同年9月の安倍内閣崩壊・福田内閣の誕生後、医療改革の希望の芽が拡大したことも見落とせない。本稿では、まず2007年後半以降1年間の医療改革の希望の芽の拡大を、(1)制度改革の肯定面と医療者の自己改革、(2)全国紙の医療問題の報道姿勢の変化、(3)福田内閣による医療費抑制政策の部分的直しの3つに分けて示す。次に、2008年6月に閣議決定された「経済財政改革の基本方針2008」等に含まれる医療・社会保障改革方針を複眼的に評価し、医師数抑制政策の転換等、希望の芽がさらに拡大したことを示す。最後に、公的医療費増加の財源選択の3つの立場(消費税引き上げ、歳出の無駄の削減、社会保険料の引き上げ)を示し、主たる財源は社会保険料で、公費は補助的財源とすべきという筆者の判断とその根拠を述べる。

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© 2009 日本保健医療社会学会
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