2010 年 21 巻 1 号 p. 17-24
本稿では、近年の高齢者介護政策の動向を概観してその特徴を明らかにし、それを踏まえた考察課題を提示する。まず、(1)介護保険制度における介護モデル、(2)介護資源の量を規定する政策、(3)介護関係を規制する政策の三つの動向を概観する。そこから以下の論点を見出すことができる。一つは、現在の介護モデルと介護保険成立当初の「自立支援」とのズレである。このズレをどう評価するかが考察課題となる。もう一つは、医療と介護の給付の総量抑制の流れの中で、制度の「適正化」がなされているということである。この「適正化」がいかなる論理でなされているのかを、分野ごとに見ていくことが課題になる。