保健医療社会学論集
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生体ドナー保護制度の必要性とその問題点
今井 竜也
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2011 年 22 巻 1 号 p. 56-68

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抄録

生体ドナー保護制度の確立は国際的要請であり、生体移植の依存度が高い日本ではとりわけ、適切なドナー保護が必要である。日本ではこれまで、生体移植においては手術を受けたレシピエントの方が注視される一方で、ドナーの問題はあまり重視されてこなかったが、生体ドナーの置かれた現状は想像以上に厳しいことが、日本肝移植研究会の調査報告書などで明らかにされている。また、生体ドナー保護制度の確立は、単に制度のあり方のみならず、生体移植にまつわるさまざまな問題をも内包し、日本の生体移植のあり方そのものが問い直されることにもなる。日本では今後、どのような形での生体ドナー保護制度を確立すべきか。その必要性と、制度に付随する問題点を、「ドナーに対する経済的補償」と「ドナーの健康と生命の保障」の観点から考察する。

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© 2011 日本保健医療社会学会
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