保健医療社会学論集
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原著
後期高齢者医療制度の負担に対する公平性
加藤 英一
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2017 年 27 巻 2 号 p. 48-56

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抄録

後期高齢者医療制度が2008年から始まった。このような一定年齢以上の高齢者のみを対象とした独立の医療保険制度は、世界でも他に類を見ない。またその特徴は保険財源にもみられる。被保険者の保険料が約1割、他の保険者からの支援金が約4割、そして公費が約5割である。ここで問題となるのが各保険者からの支援金の配分、即ち費用負担の分配の公平性である。具体的には健康保険組合、全国健康保険協会、国民健康保険の3つの保険者間の費用負担の公平性が問われる。本稿ではこの問題に対して、支援金の負担額そのものの配分を問うのではなく、保険の加入による効用としての利得から分配の公平性を問題としている。方法としては保険加入による利得計算を基にゲーム理論を参考として、その特性関数から公平性を問うている。その結果、後期高齢者医療制度は、不公平なシステムとまではいえないとされる。

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© 2017 日本保健医療社会学会
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