2019 年 29 巻 2 号 p. 45-53
2000年代に注目を浴びるようになった発達障害(自閉症スペクトラム障害、学習障害、注意欠陥多動性障害)には規定の診断基準とガイドラインが存在する。しかし、実際の臨床場面ではここから零れ落ちる、さまざまな不確実性が存在する。著者は診療に携わる医師9名へインタビュー調査を実施し、彼らが臨床場面で経験する不確実性について聞き取りをおこなった。本稿ではそれらの不確実性を(1)空間的要因に起因する不確実性、(2)時間的要因に起因する不確実性、(3)技術と経験に起因する不確実性、の三つの軸に分類して検討した。