保健医療社会学論集
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特集 保健医療社会学における方法論の未来
保健医療社会学における計量的アプローチの現状と未来——近接領域との対話のためのデータの必要性——
藤澤 由和
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2019 年 30 巻 1 号 p. 3-11

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抄録

保健医療社会学における計量的アプローチの可能性を検討するために、二人の保健医療社会学者の活動の軌跡を概観する。具体的には社会疫学の萌芽を形作ったとされるLeonard Symeと医療の質を患者の視点から評価する仕組みとその制度化において中心的な役割を担ってきたPaul Clearyのそれぞれの研究である。

こうした研究の概観から見えてくるのは、たとえ素朴な実証主義であったとしても、計量的なアプローチやそこから生まれるデータを元にした近接領域の研究者らとの対話や、エビデンスを必要とする政策立案者らに議論の端緒を提示することには、一定の有用性があると考えられる。

たしかに認識論のレベルから対象を相対化することにより、新しい境地を切り開くこともありえよう。しかしその一方で、既存学問とは異なる新しい領域(土俵)を、計量的アプローチという共通の言語で、他の領域の研究者らと共同して作っていくことも、保健医療社会学における重要な課題ではないかと考える。

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© 2019 日本保健医療社会学会
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