昭和学士会雑誌
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原著
投球動作における肩関節の回旋角度評価
—三次元動作解析—
岡田 智彰渡邊 幹彦西本 雄飛木村 岳稲垣 克記
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2018 年 78 巻 2 号 p. 135-141

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抄録

スポーツ障害の中でも投球障害肩は患者数も多く,これまで多くの研究がなされてきた.投球動作は全身の複合動作であり,特に加速期において障害が多く生じることが示され,関節への負荷などは先行研究で報告されている.しかし多くの動作が複合しているため一つのパラメーターを評価することが困難であり,SLAP損傷などの原因も未だに解明されていないのが現状と言える.その中でも肩関節回旋は肘や前腕の肢位に影響を受け,投球動作における肩関節回旋角度の評価は今まで困難であった.本研究では,独自に開発した装置と三次元動作解析で上腕骨を指標に肩関節の回旋角度を算出した.実験は上肢に既往歴のない右投げの野球経験者6名を対象とし,一人当たり5投で検証した.独自に開発したマーカーベースとアンカーを装着し,モーションキャプチャーシステムで記録,三次元動作解析ソフトで得られた空間座標からベクトルと行列と三角関数を用いて上腕骨長軸回旋角度の変化量を算出し,経時的に評価することで加速期における肩関節回旋角度を求めた.6名30投の肩関節回旋角度の平均値は 113.13±52.47°であった.選手のうち最大は190.29±1.36°(p<0.05),最小は34.82±2.09°(p<0.05)を示した.また5名はボールリリース直前で肩関節回旋角度が20°前後に減少していたが,1名は129.37±5.53°(p<0.05)を示し有意差を認めた(p=0.00033).本研究において加速期の特にボールリリース直前の肩関節回旋角度を評価できたこと,また上腕骨を直接指標として投球動作を撮影し数学的な解析ができたことは,先行研究と比し選手個人の投球フォームを反映している点でより臨床的な評価方法だと考える.更に精度を高め障害群における追加実験を行うことで,投球障害肩の予防や治療,今後の研究に寄与できると考えられる.

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