昭和学士会雑誌
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原著
昭和大学病院の小児医療におけるアクシデントの特徴と問題点
玉井 哲郎阿部 祥英宮沢 篤生水野 克己根本 友重服部 夕子中山 智理
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2019 年 79 巻 2 号 p. 165-170

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抄録

昭和大学病院の小児医療に関連するアクシデントを分析し,特徴や問題点を抽出すること.対象は昭和大学病院の医療安全管理部門が管理する入力システムから報告された過去11年間の小児医療に関連するインシデントレポートのうち,患者への影響レベルが3b(濃厚な処置や治療を要した)以上であったアクシデント17事例である.それらを状況報告書をもとに分類して分析した.患者の男女比は11:6であった.年齢の範囲は0〜18歳で,3歳までで12例(71%)を占めた.11例(65%)が発達遅滞,形成異常のうち,いずれか一つを有した.入院事例が15例(88%)でNICU・ICUでの事例は5例(29%)であった.事象に関して,「療養上の世話」5例(29%),「治療・処置」4例(24%),「ドレーン・チューブ」4例(24%),「検査」1例(6%),「その他」2例(12%)で,この2例は予期せぬ急変で影響レベル5(死亡)の事例であった.事例が生じた背景に関して,NICU・ICU以外の事例で発達遅滞,形成異常のいずれも認めなかった児は2例(12%)のみであった.事例が生じた要因に関しては,患者担当者の医療行為に起因するものが8例(47%),医療体制の不備が6例(35%),予測困難が2例(12%),患者の基礎疾患が1例(6%)であった.昭和大学病院のアクシデント事例の約80%は医療行為の質向上や医療体制の改善に向けて介入可能であった.しかし,予測が困難であった事例が約10%あり,小児医療の安全管理上,リスク軽減に限界があることも判明した.

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