昭和学士会雑誌
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原著
婦人科がん周術期患者のリハビリテーションの効果:リハビリテーションの有無による退院時の筋力,運動耐容能,不安,HRQOLの検討
黒岩 澄志宮川 哲夫森岡 幹佐々木 康中山 健
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2020 年 80 巻 6 号 p. 536-545

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抄録

消化器がん・肺がん・乳がんの術後患者に対するリハビリテーションのエビデンスは報告されているが,婦人科がん周術期に対するリハビリテーション効果に関する報告は現在全く認めない.そこで,婦人科がん周術期患者に対し,術後退院までリハビリテーションを実施した群と実施しなかった群それぞれにおいて術前後で筋力,運動耐容能,不安,健康関連生活の質(HRQOL)に差がみられるかについて検討した.2018年4月1日から2019年12月31日までにA病院で婦人科がんを手術された44名を対象とした.44名のうち22名は手術後退院までリハビリテーションを実施した群(以下:介入群),22名は手術後退院までリハビリテーションを実施しなかった群(以下:対照群)とした.評価項目は筋力(膝伸展筋力),運動耐容能(6分間歩行距離),不安尺度(STAI),HRQOL(EORTC QLQ-C30)とし,これら項目を介入群,対照群ともに手術前と退院時に評価し,比較検討した.結果は,手術そのものによる影響と入院による影響で,リハビリテーションの有無に関わらず対照群,介入群ともに筋力,運動耐容能,HRQOLの多くの項目で術前と比較すると有意に低下しているが,入院中にリハビリテーションを実施することでその低下を最小限にすることができることが示唆された.しかも,対照群は退院直後日常生活に支障を来す筋力と運動耐容能のままで退院していることが明らかになった.消化器がん術後リハビリテーションに関する報告は幾つかあり,本研究においても,対象が婦人科がんであり消化器がんでないことを考慮しても基本的には開腹手術後であることから,リハビリテーションを実施したことによって筋力,運動耐容能,疼痛,倦怠感が対照群と比較し有意に改善したと考えられる.介入群はリハビリテーションを実施することによって筋力,運動耐容能,倦怠感,痛みなどが改善し,手術や入院による機能低下を予防し,経済的負担や家庭や社会における役割といった退院後に関わるHRQOLの改善に寄与することができたと考えられる.本研究の結果が,婦人科がん術後の社会生活を支援できる一助になることを期待する.

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