2020 年 80 巻 6 号 p. 557-562
症例は在胎36週で出生した女児である.胎児期から羊水過多を指摘され,生直後から重度の筋緊張低下があり,啼泣や体動はほとんど認められなかった.酸素投与は不要であったが,呼吸補助のため経鼻的陽圧換気を要した.また,嚥下運動がみられず,栄養管理は経鼻胃管を要した.本児はFloppy infantであり,当初は神経筋疾患が疑われた.人工呼吸器や経管栄養の離脱に時間を要したが,筋症状が緩徐に改善したことがPWSを鑑別する契機になった.遺伝学的検査ではDNAメチル化試験が本児の診断に有用で,時間経過とともに症状が改善したことに留意し,PWSを乳児期早期に確定診断できたと考えられた.