2023 年 15 巻 1 号 p. 29-41
少子高齢化の進展により、少ない若い世代が高齢者を支えていく世の中にあっては、次世代を担うこれからの子どもたちがそれぞれの地域でたくましく、健やかに育つために、地域全体で活性化し、健康なまちとしての環境になる必要がある。子ども自身の健康は社会環境である、この地域でつくられているという意識と、自身がこの地域を構成する一員であり、健康で住み続けたい地域になるよう積極的に関わっていこうとするシビックプライドを芽生えさせるようなプログラムの開発とその効果を確かめる必要がある。本研究では中学生を対象に、シビックプライド尺度項目の構成要素を抽出・検討した先行研究をもとに、中学生版シビックプライド尺度を作成し、その信頼性、妥当性を検討することを目的とした。
研究対象は、青森県内A町全て(4つ)、東京23区外のB市の1つの中学校に通う1・2年生644名であった。2020年2月に無記名自記式質問紙による調査を行った。541名の有効回答を得た。項目分析、探索的因子分析を行い、40項目5因子の最適解を得た。各因子のCronbachのα係数は0.536 ~ 0.948で、関連概念を測定する他の尺度項目である社会参加の頻度、社会的凝集性の信頼、互酬性、愛着に有意な相関係数が得られた。中学生のシビックプライドを測定する尺度としての信頼性、妥当性を確認できた。