抄録
本研究は,高分解能の情報であるという長所を持つ分布型降雨情報が,その長所によって有効なものとなる条件を流域の地形特性という視点から探るものである.このために流出モデルと連動して実流域の様々な流域地形量を算出できるようにした上で,それらの値と分布型情報の有効性の関係について論じた.分布型情報の有効性の検討は仮想降雨を用いた流出解析によって行った.対象流域としては4つの実流域と,地形量をパラメータとして設定可能な模擬流域を用いた.このために計量地形学における代表的な法則や統計則に基づいた模擬流域発生手法を構築した.実流域での検討結果として,流域界形状や河道網形状などを表現する流域地形パラメータが分布型情報の有効性に関係していることを示唆した.このうちの分岐比・河道長比については模擬流域を用いてさらに検証を行い,分布型情報の有効性との関係を確かめた.