抄録
近年,太陽,センサと,対象がなす角度によって,取得される分光反射特性が異なる性質(BRDF)が,衛星データに及ぼす影響が懸念されている.そこで本研究では,カナダ北西部の山火事後の遷移段階にある植生を対象に,植生のBRDFが植生指標NDVIの値に与える影響を調べた.さらに,複数の植生指標(GEMI,バンド和で正規化した近赤外の反射率:nNIR)のBRDFに対する変動を変動係数を用いて比較した.観測角度の変化がNDVIに与える変動は,IKONOSが標準画像として販売する真下±15°の観測角度の違いで,0.1_から_0.2程度あった.また,各植生指標のBRDFに対する変動を比較すると,NDVIは特に地表面が露出する植生でBRDFに伴う反射率の変動の影響が表れることが分かった.さらに,焼け跡ではGEMIが,植生の侵入が始まった後の地点ではnNIRが,それぞれ最もこの変化に対する変動が小さくなった.