抄録
黄河のような大規模河川の流量形成機構を考える場合には,降水,日射,風速,温湿度といった気象要因(自然要因)だけでなく,大規模ダムによる流量調節や農業生産のための大規模な灌漑取水といった人為的な河川流量操作の実態を反映した水文・水資源モデルの構築が必要不可欠である.
本研究では,まず黄河領域のうち大規模な人為的流量操作の行われていない黄河源流域の流量を,寒冷地(シベリア)や乾燥地(モンゴル)などの大規模(広域)河川流域への適用実績がある“SVAT_-_HYCYモデル”を用いて再現することを試みた.次に,蘭州より上流に設置された大規模ダムによる流量調節の実態を把握し,ダム操作を反映したサブモデルの構築を試みた.最後に,頭道拐流量観測点における長期実測流量データを解析することにより,大規模灌漑地域における取水(水利用)の実態把握を行った.