水文・水資源学会研究発表会要旨集
第19回(2006年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
セッションID: P-55
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水文統計
東京都内の湧水における長期間の水温変動について
成宮 博之中山 大地*松山 洋
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抄録
本研究では,東京都内の30地点の湧水について,長期にわたる水温の変動を調べた.渇水期と豊水期に現地で水温,pH,電気伝導度を測定し,研究室でSiO2濃度を測定した.SiO2濃度は,湧水の背後にある涵養域の検討に用いた.それらの調査結果と,東京都が過去に実施した調査結果とを合わせることで,1987?2006年の観測値を得た.水温の観測値を地点,時期ごとに分類して,Kendall検定を用いて水温の長期変動を求めたところ,渇水期15地点,豊水期13地点で有意水準5%で有意な水温の上昇傾向がみられた.一方,湧水のSiO2濃度が高い場合,その湧水は広大な涵養域を持っていると考えられる.この場合,熱容量の関係から気温や環境の変化に対して水温の変動が顕著に表れないと考えられる.そこでSiO2濃度と水温の年較差・長期変動傾向との関係を調べたところ,両者の間にはそれぞれ負の相関関係がみられ,上述した仮説が成り立っていることが示唆された.
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© 2006 水文・水資源学会
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