抄録
本研究は、冬期に降水量が十分に得られない流域においての日単位の長期流出解析であり、寒冷地である北海道・東北地方の5つのダム流域(岩尾内ダム,漁川ダム,定山渓ダム,浅瀬石川ダム,玉川ダムの各流域)を対象とした。対象期間は2002年6月から2006年4月までの約4年間である。解析にはGISが活用できるように改良された安藤等の水循環モデルを用いた。冬期は観測資料が十分ではないが、ダム地点の降水量データは良好であったため、それをもとに仮定した標高-降水量関係から流域平均降水量を推定した。GISメッシュは100mとし、降水量の他、積雪・融雪計算をしている。流出特性として一雨雨量-直接流出高の関係や地下水流出の減水定数等を表し、それらの値をパラメータとして用いた。解析の結果、岩尾内流域では冬期の降水量データは全て不良であったためモデルの再現性は十分でなかったが、他の4ダム流域では良好な再現性が示された。