抄録
我が国の山岳地域のような複雑な地形条件を持つ地域では,地形の影響を受けて雨域が激しく変動する.栃木県西部では足尾山地がトリガーとなって集中豪雨が頻繁に発生しており,過去に大きな水害をもたらした原因となっている.そこで本研究では関東地方の山岳近辺を対象領域とし,同地域における集中豪雨のメカニズム解明を目的として,メソ気象数値モデルを使用した実験的な数値シミュレーションを行った.地形形状を段階的に変化させ,風速場や降雨量などに対する影響を地形変化前と比較することで,地形条件が集中豪雨の発生・維持機構にどのように影響しているかについて検討を行った.
シミュレーションの結果,トリガー地点周辺における標高の増加に伴い,領域最大降水量は増加するだけでなく,減少する場合もあることが示された.その際,全体の降水量の変化は少なく,領域内での降水の集中の度合いが変化することが明らかとなった.