抄録
山岳盆地地形における局地気象の特徴として,盆地底部における夜間から早朝の放射霧と日中から午後に高標高地帯で発生する上昇霧の存在が挙げられる.そして,乗鞍岳においては上昇霧のpHが1.4-1.6という非常に強い酸性を示すことが報告されており(石坂ら,1990),局地循環による水蒸気の輸送とそれに伴う霧の発生は,水循環のみでなく山岳地の生態系へも影響を与えていると考えられる.
発表者らは,乗鞍岳西面・小八賀川流域を対象として,局地気象観測と霧の発生の監視を,2004年から行ってきた.本研究では,対象地域の局地風による水蒸気移動の実態を明らかにし,植生圏からの蒸発散が水蒸気収支に与える影響を検討する.