抄録
本研究では、1960年代から1990年代までの40年間を対象に、黄河全流域の水収支を半分布型水文モデルを用いて解析し、新たな黄河断流のメカニズム解明を試みた。その結果、黄河下流域の河川流量の減少の大部分(約7割)は、下流域に水を供給する黄河源流域から中流域までの河川流量の減少によるもので、残りの3割が、下流域内での水消費量の増加によることがわかった。下流域内での水消費量は主に灌漑面積の増加に伴う灌漑用水量の増加に規定されており、下流域への供給水量の減少は、黄河中流域からの流出量の減少に起因することがわかった。