抄録
本研究では,LovejoyとSchertzerら(例えばLovejoy and Schertzer , 2007など)によって開発されてきたmultifractal model(モデル化の手法としては“連続型カスケードモデル”と呼ばれる.また,3つ程度に限定されたパラメータだけでモデル化されているので,“universal model”と呼ぶこともある)を用いて,降水量の時空間分布をモデル化する手法を検討してきた.モデルを用いる場面としては,メソスケール気象モデルの(降水量)アウトプットをダウンスケールする場面,治水計画において,対象降雨を生起させる場面,等を想定している.昨年度までは,時間分布を考慮せず,降水量の2次元的な分布が,この連続型カスケードモデルで再現可能かどうかについて検討してきた.本稿では,空間分布(2次元分布)に加え,時間分布を考慮した場合に,このモデルを用いて,降水量の2+1次元的な分布を生成する手法について検討した結果を報告する.