抄録
気候変動の定量的な評価については気候モデルを用いた数値実験結果に大きく依存しており,気候モデルの出力について正確に理解しておくことが重要である.本研究では,IPCCの第4次報告書で用いられているCMIP3マルチ気候モデルのデータを解析し,日本陸域を対象に再現性の精度を比較検証した.陸域に対象を限定したのは解像度が異なることによる海陸判定の誤差を除外し,各気候モデルによる予測結果の違いをより明確にすることが狙いである.降水量をはじめとする水文・水資源分野において重要な複数の気象要素について同時に評価し,日本国内を対象とした場合の適切な気候モデルの選択方法および予測結果の不確実性についても考察した.