将来における人口増加に伴う食糧不足の深刻化が指摘されている.IPCC AR4は,地域の平均気温が3℃上昇すると,世界全体で潜在的作物の生産量が低下すると報告している.また,食糧を生産するためには水資源の確保が必要である.水消費全体の2/3以上を占める農業部門による水消費は非常に大きく,本部門における現状と将来における水需給推計を行うことは重要である.本研究では,現状気候における灌漑必要水量の推計し,2090年代を対象とした複数シナリオ下における将来気候における灌漑必要水量を推計することによって,将来における農業生産における水需給バランスを評価した.