抄録
高層湿原における生物多様性劣化の予兆を検知する指標として、比較的簡易に計測可能な地下水位データを用いて、その低下傾向の有無を評価する手法について検討した。4箇所の湿原を対象に連続観測した地下水位から、_丸1_地下水位の統計値、_丸2_比産出率、_丸3_雨量補正した貯水量、_丸4_地点間の水位差、の4方法で評価を試みた。その結果、雨量補正した貯水量及び地点間の水位差が、各年の降水量の多寡の影響を受けにくい傾向が示されたとともに、特に地点間の水位差を追跡することが、潜在的な環境変化を検知する上で有効な手法である可能性が示された。総じて、ひとつの指標に必ずしも依らず、直感性、土壌の空隙との関連、雨量の多寡の考慮など、それぞれの特性を生かして多角的視点から中期的な環境変動を評価することが適切であると考えられる。