水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2013年度研究発表会
セッションID: P69
会議情報

【森林水文】
石川県白山麓スギ林における雪の樹冠遮断量
*小倉 晃篠原 慶規能登 史和大槻 恭一丸山 利輔
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

森林の水循環に関する研究は数多く行われ,降雨についての水循環は研究が進んでいる.しかし,北陸地域でのその測定事例は少なく十分とは言えない.また,森林域における降雪・積雪・融雪の水循環についてはほとんど研究されていない.また、スギ林の雨の樹冠遮断は数多く研究されているが、雪の樹冠遮断の研究事例は数が少ない。そこで、日本の造林面積が最も多いスギ林の雪の樹冠遮断量を2008から2012年度に測定したので、測定結果について報告する。各年度の冬期の特徴は次のとおりである。2008年度は最大積雪深が66.9cmで、測定期間以外に降雪は無かった。2009年度は最大積雪深が150.2cmで、1降雪が雨から雪、雪から雨となった。2010年度は最大積雪深が238.7cmで1月は気温が低く湿った雪でなく乾いた雪が比較的多く降った。また、樹冠の雪は2月14日までずっと見ることができた。2011年度は最大積雪深が166.7cmで、測定期間の前半は気温が高かったが、後半は気温が低めであった。2012年度は最大積雪深が86.8cmで11月から冬型の気候は続いたが、途中降雨も多く、比較的小雪となった。また、2011年11月に間伐を行った。測定の結果、降雨期の樹冠遮断量は間伐前が15%程度で、これは日本の針葉樹の平均的な樹冠遮断量と一致した。また、間伐の影響によって5%程通過雨量が多くなった。降雪期の雪の樹冠遮断率は降雨期に比べ10%程度多くなった。これは雪が樹冠に留まっている時間が雨よりも長いために降雨期よりも多く蒸発したと考えられる。また、間伐の雪の遮断率の影響も雨と同じで5%程度通過雨量が多くなった。なお、2010年度は正確に測定できなかったので結果から除いた。

著者関連情報
© 2013 水文・水資源学会
前の記事 次の記事
feedback
Top