水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2013年度研究発表会
セッションID: 23
会議情報

【地下水,河川・湖沼】9月25日(水)15:10~16:40
カスピ海流域における過去の水収支解析
*峠 嘉哉
著者情報
キーワード: 陸面解析, SiBUC, カスピ海, 灌漑
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
筆者らは,これまでカスピ海流域の東部にあたるアラル海流域で陸面過程モデルSiBUCを用いた水収支解析を行ってきており,そこでは降水量の30%を削減するという大きな仮定を施さなくては河川流量やアラル海縮小を精度よく再現できないという水量過多の問題があった1).使用した降水量データセットと現地観測データを比較した場合に3割にも及ぶ違いが見られなかったことから,モデル内で考慮できていない水の損失があると考えられ,その原因の一つとして,水が地下水として流域外へ流れ出ている可能性がある. 中央アジア東部のアラル海流域は,西部のカスピ海流域より標高が高く,現在のアラル海の海面標高が約30~40m程度である一方で,カスピ海の海面標高は約-30mである.加えて,現在アラル海に流れ込んでいるアムダリア川は2000年程前にはカスピ海に流れ込んでいたという事実等を踏まえると,二つの流域は現在表流水の形では繋がっていないものの,地下水の流れが依然として存在する可能性がある.そこで本研究では,アラル海流域で行ってきた流域水収支解析をカスピ海流域においても行い,アラル海流域側からの流入があり得るかどうかについて検証を行った. 解析は今までアラル海流域で行ってきたものと同様に,陸面過程モデルSiBUCを用いて流域全体の水収支を計算し,その結果から得られるカスピ海の水収支を入力条件としてカスピ海消長モデルを結合させた.このカスピ海消長モデルによって得られたカスピ海領域の変化は,陸面過程モデル内での土地被覆条件にも反映されている.同時に,各年の灌漑面積を統計データを基に修正している.この解析を1961~2000年の40年間で行った. 結果,水量が過大となったため,降水量を3割補正する処理を行った.その原因の一つとしては,SiBUCでは,降水時や積雪が融解した場合に一定量以上の水が地上に溜まると,超過分の水が河川に流れ出るとしている.しかし,流域北部の寒冷地においては,積雪が夏季に融解し湿地帯を形成する場合があり,これを反映できていなかったことで蒸発量を過小評価していた可能性がある.そこで,今後はGRACE衛星を用いて陸水貯水量を評価し,湿地帯と考えられる地域を検出した後,河川流量データから流出率を求め,湿地帯の有無と流出率の関係等を明らかにしていきたいと考えている.  
著者関連情報
© 2013 水文・水資源学会
前の記事 次の記事
feedback
Top