水文・水資源学会研究発表会要旨集
水文・水資源学会2016年度研究発表会
セッションID: H06
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【高校生セッション】
塩素を用いた井戸水に含まれるヒ素、鉄、アンモニアの除去法
*上原 茉緒
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抄録
カンボジアの首都プノンペンでは37%の井戸でWHOが定めた基準値0.05mg/Lをこえたヒ素が検出されている。カンダル州のPreak Russey村では2006年に80%の井戸で基準を40~50倍超えるヒ素汚染があった。村人のうち300人(ほぼ全員)に症状があり、4人はすでに死亡している。タイのナコンシタマラート県ロンピブン村では鉱山活動により、1万4000人のうち約1500人の住民が井戸水(最高4.45ppm)による慢性的なヒ素汚染の被害を受けている。そこで、タイやカンボジアなどの東南アジア諸国で問題になっているヒ素、鉄、アンモニア態窒素の飲料水混入による健康被害を解決するために、現地にある限られた資源を最大限有効活用した水質浄化システムを検討した。
結果として、1kWhの電力で8.36×10⁴Lの鉄(5.0mg/L)を含む水と1.40×10⁴Lのヒ素(2.5mg/L)を含む水を浄化できることがわかった。電気代のみを考えるとプノンペン市内で電気料金が0.20ドル/KWhであることを考慮して、9.76×10⁴Lすなわち約100m³の水を0.20ドルで浄化できる計算となった。井戸は水深が深いものは酸素量が少ないために二価鉄が多く、浅い井戸の水には三価鉄が多く含まれることから、使用する次亜塩素酸の必要量が変わってくることも考慮する必要がある。本論文で示した除去過程では水中に塩素が残存することになるが、5分程度の煮沸によって取り除くことができる。仮に過剰摂取しても汗や尿に混ざり、体外へ排出されるので過剰摂取による健康被害はないが、インタビュー調査の結果、水道水に塩素が含まれることを懸念する人もいることから、塩素水の必要量については今後、さらに検討していかなければならない。また、送水コストや維持費などの検討も今後の課題である。既にいくつかのヒ素浄化方法が提唱されているが、地下水や高濃度の鉄を含む水に適する方法は少ないことから、現地の資源のみを利用するこの方法は持続可能な浄水方法のひとつになり得ると考えた。
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© 2016 水文・水資源学会
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