抄録
[目的] 持続腎臓代替療法 (continuous renal replacement therapy, CRRT) の抗凝固薬として, 本邦で多く使用されるメシル酸ナファモスタット (nafamostat mesilate, NM) と, 国際的に一般的なヘパリンとを比較する。[方法] NMを第一選択とした2003年4月~2004年3月 (前期) と, 低用量ヘパリンを第一選択とした2004年4月~2005年3月 (後期) にCRRTを施行した症例とをretrospectiveに比較検討した。[結果] 施行回数は前期50回, 後期101回。フィルタ寿命は前期34.6時間, 後期18.6時間で有意差を認めた。両群とも抗凝固薬に起因する出血性合併症はなく, 輸血の必要量も同程度であった。また実施コストは, 前期が後期に比べ1日当たり5万円以上高額であった。[結論] NMはヘパリンに比べフィルタ寿命が長かったが, 出血性合併症の発生には差を認めず, コストは高かった。