2016 年 23 巻 4 号 p. 393-397
Clostridium difficile infection(CDI)に溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome, HUS)が続発することは稀であり本邦では報告がない。今回,CDIに続発したHUSに対し血漿交換を行い,良好な予後を得たので報告する。症例は71歳の女性。多発外傷で前医入院中,CDIを合併した数日後に血小板減少,腎機能障害を認め,精査加療目的に当院転院となった。転院後,溶血性貧血を呈したため,血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy, TMA)の病態であると判断し,当院入院第11病日より血漿交換を3日間施行した。A disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs,member 13(ADAMTS13)活性は軽度低下であったため,TMAと診断した10日後に血栓性血小板減少性紫斑病を否定しHUSと診断した。血漿交換後は症状増悪することなく,第42病日に他院転院した。