2016 年 23 巻 5 号 p. 575-578
症例はクローン病に対しステロイド療法を含む集学的治療中の43歳男性で,左下肢痛を主訴に当科を受診。肛門周囲膿瘍を中心とした会陰部から左側の臀部・大腿・下腿に及ぶ発赤と握雪感を伴う腫脹を認め,血液検査にて炎症反応と急性腎傷害所見を,CTにて会陰部から左下腿まで筋膜沿いに広がる皮下ガス像を認め,フルニエ壊疽の広範な下肢ガス壊疽への進展と診断。緊急切開排膿・debridementを行い,膿の細菌培養検査にて非Clostridium性ガス壊疽(混合感染)と診断。術後は連日の創内洗浄,完全中心静脈栄養,経肛門イレウス管による便ドレナージ,メロペネム・免疫グロブリン投与,ステロイドカバーを行い,第8病日に左大腿の膿瘍再切開を要したが以後の経過に著変なく,切開創に対する自家皮膚移植の後,第247病日に退院した。