2016 年 23 巻 6 号 p. 651-654
てんかん重積状態はしばしば意識障害を臨床像とした非痙攣性てんかん重積状態(nonconvulsive status epilepticus, NCSE)であることがある。NCSEは診断基準がなく,臨床像を表現する脳波異常が認められた際に診断が可能であると考えられている。Arterial spin labeling(ASL)はMRI検査で得られる非侵襲的脳灌流画像である。痙攣重積状態の局所脳血流上昇が,このASLにて確認可能であることは報告されている。今回,意識障害患者のASLにて局所脳血流上昇が確認され,NCSEの診断に至った症例を経験した。適切な抗痙攣薬の投与に伴い臨床症状の消失,および脳波の改善を認めている。よって,今回の症例から,NCSEの診断において緊急で脳波検査が施行できない場合,ASLをMRI検査時に行うことで診断の補助になると考えられた。