日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
高トリグリセリド血症起因性急性膵炎にLDL(low density lipoprotein)吸着療法が奏功した妊婦の1例
佐倉 考信清水 一好廣井 一正鈴木 聡林 真雄賀来 隆治森松 博史
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2017 年 24 巻 1 号 p. 26-30

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抄録

妊娠中の急性膵炎は稀な疾患であるが,発症すると母体,胎児ともに予後が悪い。著明な高トリグリセリド(triglyceride, TG)血症による急性膵炎を発症した妊婦に対して,LDL(low density lipoprotein)吸着療法を施行し良好な経過をたどった症例を経験した。症例は35歳,妊娠39週の女性。TG 11,936 mg/dlの著明な高TG血症を認め,造影CTにて重症急性膵炎を疑う所見を認めた。帝王切開にて妊娠を中断の後,ICU入室となり急性膵炎,高TG血症に対する治療を開始した。高TG血症に対してLDL吸着療法を3回施行し,TG値は1,764 mg/dlまで低下した。その後,膵炎に対する保存加療が継続され,第15病日に退院した。高TG血症起因性急性膵炎において,高TG血症の治療併用は重要である。本疾患を合併した妊婦に対して,血漿交換と比較して合併症頻度の低いLDL吸着療法を選択し,安全に施行できた。

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© 2017 日本集中治療医学会
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