日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
経肺圧に基づく換気設定により,体外式膜型人工肺を回避した急性呼吸窮迫症候群の新生児例
井坂 華奈子竹内 宗之橘 一也京極 都文 一恵小山 英彦簱智 武志清水 義之
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2017 年 24 巻 3 号 p. 332-336

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抄録

劇症型A群レンサ球菌感染症により敗血症性ショック,急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome, ARDS)をきたした日齢20の新生児症例。低酸素血症が急速に進行し,経過中にプラトー圧28 cmH2O,PEEP 8 cmH2Oとなり,体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation, ECMO)が考慮された。この時点で,食道内圧を測定し,経肺圧を計算したところ,最高経肺圧は18 cmH2Oであった。Grassoらの報告1)に従い,最高経肺圧が25 cmH2O,1回換気量が6 ml/kgとなるように,プラトー圧38 cmH2O,PEEP 14 cmH2Oに設定したところ,低酸素血症は改善した。敗血症治療も奏功し,8日目に抜管,13日目にICUを退室した。急速に進行する重症ARDSに対して経肺圧に基づく換気設定を行い,ECMOを回避できた。

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© 2017 日本集中治療医学会
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