日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
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総説
重症患者の睡眠管理
鶴田 良介山本 隆裕藤田 基
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2017 年 24 巻 4 号 p. 389-397

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抄録

睡眠は睡眠ポリグラフィによりレム睡眠とノンレム睡眠に分類される。睡眠-覚醒リズムは概日リズム機構とホメオスタシス機構の2本立てでコントロールされている。その調節にあたっては,視床下部前部に睡眠の,後部に覚醒の中枢があり,GABA(γ-aminobutyric acid),ヒスタミン,オレキシン,アセチルコリン,ノルアドレナリン,セロトニンなどの神経伝達物質とアデノシンが関与している。免疫-内分泌系も睡眠調節に関わっており,炎症性サイトカインと抗炎症性サイトカインはそれぞれノンレム睡眠を促進,抑制する。重症患者の睡眠の特徴は,睡眠潜時の延長,睡眠効率の低下,徐波睡眠とレム睡眠の減少,睡眠の断片化などである。環境要因も含めたICUでの治療・ケア,基礎疾患,重篤な病態が睡眠障害を引き起こす。このような睡眠障害はICU環境とケアの改善により患者の睡眠に関する満足度が上がり,せん妄の発症率が低下することが報告されている。

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© 2017 日本集中治療医学会
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