日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
MicroScan WalkAway® prompt法で測定した最小阻止濃度がバンコマイシン治療に与える影響の検討
稲葉 正人髙谷 悠大東 倫子江嶋 正志沼口 敦松田 直之
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2017 年 24 巻 4 号 p. 417-420

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抄録

Prompt法で菌液を調整しMicroScan WalkAway®で判定する手法(MW prompt)でmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)に対するvancomycin(VCM)の最小阻止濃度(minimal inhibitory concentration, MIC)を測定した場合,他機種や基準比濁法で測定したMICより高く判定される危険性が指摘されている。そのため,MW promptでVCMのMICが2μg/mlと判定されたMRSA感染症に対するVCMの有効性については不明な部分が多い。今回MRSA肺炎に対しVCMで治療した11例について,MW promptで測定したMIC別の臨床的,細菌学的有効性を検討した。細菌学的有効性を認めた症例は,MIC 1μg/mlの群が3例(50%)であったのに対し,MIC 2μg/mlの群は0例であった。臨床的有効性を認めた症例は,MIC 1μg/mlの群が4例(67%)であったのに対し,MIC 2μg/mlの群は1例(20%)のみであった。今回の検討ではMW promptでMICが2μg/mlと判定された場合,VCMの有効性は過去の報告と同様に,1μg/mlの場合より低い可能性が示唆された。

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© 2017 日本集中治療医学会
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