2018 年 25 巻 1 号 p. 53-62
【目的】救命救急センター(ECC)および日本集中治療医学会専門医研修認定施設(ICU)における中枢神経モニタリングの実施状況を検討する。【方法】ECC(271施設)およびICU(284施設)に対して,2014年1月1日~12月31日の1年間に入院した15歳以上の神経集中治療対象症例における中心神経モニタリングの実施状況の記載を依頼した。【結果】142施設から回答があった(回答率26%)。神経集中治療対象症例はECC症例数の27%,ICU症例数の19%であった。心停止後症候群(PCAS)は症例数の約20%で最も割合が多かった。持続脳波(cEEG)(振幅統合脳波aEEGを含む)および10-20法脳波(EEG)検査は,全身痙攣重積状態(GCSE), 原因不明の意識障害(Coma), 術後意識障害(心大血管,脳外など)(PostOpe), PCASにおいて施行施設の割合が多かった。バイスペクトラルインデックス(BIS)および脳酸素飽和度(Sco2)はPCAS,頭蓋内圧(ICP)は頭部外傷(TBI)およびくも膜下出血(SAH),経頭蓋ドップラー(TCD)はSAH,においてそれぞれ施行施設の割合が多かった。体温管理療法(TTM)においては,PCASでは低体温療法(TH),TBIを含む他の疾患では常温療法(FC)の割合が多かった。【結論】ECCおよびICUにおける神経集中治療対象疾患数および中枢神経モニタリングの施行の傾向を把握できた。