2019 年 26 巻 5 号 p. 401-404
Corynebacterium striatum(C. striatum)が原因と考えられる敗血症を2例経験したので報告する。症例1は76歳,男性,器質化肺炎に対してプレドニゾロン10 mg/dayの投薬を約2年間受けていた。市中肺炎による呼吸不全のため人工呼吸管理となったが,抜管後にC. striatum肺炎による敗血症を発症し,同菌に対する抗菌薬治療によって軽快した。症例2は74歳,女性,急性心筋梗塞による心室中隔穿孔を発症し,心室中隔穿孔閉鎖術後にC. striatum縦隔炎による敗血症性ショックを発症した。洗浄ドレナージ術,抗菌薬治療を行ったが,死亡退院となった。C. striatumによる感染症は定着やコンタミネーションとの判別が困難で,診断にはしばしば苦慮するが,免疫能の低下した患者ではC. striatumが起因菌となり得ることを認識する必要がある。