2021 年 28 巻 5 号 p. 437-443
要約:【目的】退院時の医薬品を自己管理できないことを推定しうる,ICUで測定可能な関連因子を特定する。【方法】後ろ向き観察研究をデザインし,既報で医薬品自己管理能力関連因子とされた年齢,性別,ICU退室時の内服薬の数,リハビリテーション介入時のfunctional independence measure(FIM)スコア,合併慢性疾患の数を141名で名義ロジスティック解析した。また,receiver operating characteristics(ROC)曲線分析で閾値と予測能を算出し,期間の異なる72名で一致度を評価した。【結果】75歳以上(OR 3.81,95%CI 1.33~10.9),FIM 認知機能の構成要素の1項目以上が4点以下(介助に該当),(OR 11.5,95%CI 4.3~30.6)が退院時に医薬品を自己管理できないことの独立した因子だった。FIM認知機能スコア26点以下のarea under the curve(AUC)が最も大きく(感度62.5%,特異度88.1%),該当する時の患者割合は高く一致した。【結語】FIM認知機能スコアと年齢が独立した因子であり,予測能はFIM認知機能スコア26点以下の時に最も可能性が高くなる。