日本集中治療医学会雑誌
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敗血症の新しいメディエータmacrophage migration inhibitory factor
西平 順
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2003 年 10 巻 4 号 p. 331-338

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抄録

マクロファージ遊走阻止因子(macrophage migration inhibitory factor, MIF)は,活性化Tリンパ球より分泌されるサイトカインとして1966年に発見され,遅延型アレルギー反応に関与する液性因子として脚光を浴びた。1989年にヒトMIF遺伝子がクローニングされ,MIFにはこれまで予想もされなかった新たな機能が備わっていることが次々に明らかにされた。MIFはエンドトキシンショックの際にマウス下垂体前葉より分泌され致死率を高めることと,その致死率は抗MIF抗体により著明に抑制されることが報告され,敗血症における新しいメディエータとして注目されている。MIFはtumor necrosis factor (TNF)-α,interleukin(IL)-1βなどの炎症性サイトカインの産生を促し,炎症および免疫応答を惹起する機能を有する。他の炎症性サイトカインと異なり,MIFは低濃度のグルココルチコイドにより誘導され,その抗炎症作用を阻害し,炎症・免疫応答のイニシエーターとして機能すると考えられている。

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