日本集中治療医学会雑誌
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血液凝固系と炎症・免疫系のクロストーク
今村 隆寿
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2004 年 11 巻 1 号 p. 9-17

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抄録

最近の研究から血液凝固系と炎症・免疫反応との密接な関係が明らかになってきつつある。凝固因子は炎症メディエーターあるいは免疫修飾因子としても働いており,一方炎症や免疫応答による刺激は血液凝固反応を誘導する。本編では,まず白血球の凝固反応開始因子である組織因子発現とその発現制御に関わる炎症・免疫関連因子,および凝固因子の白血球表面への集合について述べ,次に感染や免疫反応巣での白血球組織因子発現と引き続くフィブリン沈着の証拠を免疫組織染色,in situ hybridizationで示す。最後に,トロンビン,X因子とフィブリノペプチドの炎症(血管透過性亢進,白血球遊走,ケミカルメディエーター放出など)や免疫反応(T細胞活性化,サイトカイン産生など)における作用の研究の最近の成果について解説する。これらの事実は,血液凝固と炎症・免疫反応とのクロストークを明示している。

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