日本集中治療医学会雑誌
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高気圧酸素療法を契機に,敗血症性ショックに至ったイレウスの1症例
湯本 正人中村 不二雄勝屋 弘忠
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2004 年 11 巻 2 号 p. 127-131

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抄録
高気圧酸素療法(hyperbaric oxygen therapy, HBOT)はイレウスに対する治療法として確立されており,エンドトキシン血症の抑制にも有効であるとされている。しかし今回再発を繰り返す単純性癒着性イレウス症例に導入したところ,一過性に敗血症性ショック状態に陥り,短期間ではあるが集中治療を必要とした。動脈血液培養で腸内常在菌でグラム陰性桿菌のSerratia marcescensが検出され,イレウス症状は明らかに改善されていたこともあり,HBOTによる腸管血行改善と腸管透過性亢進改善のタイムラグにより,腸内細菌が血液内に流入したのではないかと推察された。今後HBOTを導入する際には注意が必要であることが示唆された。
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