医療機器に関連する事故原因の多くは,使用者の医療機器や関連する病院設備(電気設備および医療ガス設備など)の知識不足によって起こる誤操作や誤使用,保守管理を含めた安全に関する認識不足である。このような状況下で,医療機器の安全を確保するためには,医療機関において医療機器の異常や老朽化による不具合を早期に発見することや,医療従事者に対する医療機器や関連する病院設備の安全教育およびトラブル情報の管理などを行うことが必要である。このために医療機関内に充実した保守体制を確立することは非常に重要であり,医療の質を向上させる一法として今後ますます重要度を増すことになる。この論文では,医療機器や関連する病院設備のトラブル事例をもとに,医療機器の保守体制の必要性,運営形態,業務内容,人員配置,安全教育,トラブル情報の管理などについて述べた。