日本集中治療医学会雑誌
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たこつぼ型心筋障害を呈した巨大声帯ポリープの1症例
斉藤 朗子依田 建吾平田 学岡本 ゆう
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2005 年 12 巻 3 号 p. 213-217

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抄録

患者は60歳代女性。呼吸困難を主訴に来院。心電図でI,aVL,V3~6に陰性T波,心臓超音波検査で前壁中隔心尖部に高度低収縮を認めた。来院後短時間で窒息状態となり緊急気管切開術を施行したが,術後肺水腫と皮下気腫を併発した。緊急冠動脈造影では第1対角枝に75%狭窄,左室造影ではたこつぼ型収縮異常を認めた。術後人工呼吸管理を要したが,CPK最高値は131IU・l-1と上昇を認めず,心電図異常,収縮異常は数日の経過で回復し,第5病日ICUを退室した。第7病日の冠動脈造影で多枝冠動脈攣縮が誘発された。第22病日,喉頭微細手術を施行し,有茎性巨大ポリープの嵌頓と診断された。本例の左室低収縮領域は冠動脈1枝の支配領域を越えて存在し,収縮異常も数日の経過で改善した。巨大声帯ポリープ嵌頓を誘因とした,たこつぼ型心筋障害と考えられる。肺水腫は第2病日に改善し,胸腔内異常陰圧による血行動態性肺水腫と推測した。

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