日本集中治療医学会雑誌
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ヒトヘルペスウイルス感染が原因と考えられた急性壊死性脳症の1例
上垣 慎二早川 峰司臼井 章浩山崎 圭佐藤 朝之牧瀬 博丸藤 哲
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2006 年 13 巻 4 号 p. 451-455

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抄録

ヒトヘルペスウイルス-6(human herpes virus-6, HHV-6)感染後に発症した急性壊死性脳症(acute necrotizing encephalopathy, ANE)の1例を経験した。症例は1歳3ヶ月女児。発熱後に痙攣を呈した。痙攣は持続性で挿管・鎮静管理を必要とした。髄液検査で蛋白細胞解離を認めた。翌日のMRIで両側視床,小脳白質に異常を認めた。第3病日に躯幹を中心に丘疹を認め,突発性発疹を疑い免疫学的検査を追加したところ血清polymerase chain reactionでHHV-6陽性であった。以上よりANEと診断し,ステロイドパルス療法,γ-グロブリン大量静注療法,およびバルビツレート療法を施行したが効果なく,第14病日に死亡した。ANEは小児急性脳症の1亜型で1995年に本邦で提唱された臨床病理学的疾患単位である。原因としてはウイルス感染が関連しているといわれている。診断は神経放射線学的診断が重要であり,MRI画像で典型的な像を呈する。HHV-6感染で重篤な脳症を呈することがあり注意が必要である。

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