日本集中治療医学会雑誌
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フィブリノペプチド,フィブリン/フィブリノゲン分解産物を用いた急性心筋梗塞と肺血栓塞栓症の鑑別
丸藤 哲酒井 寛人牧瀬 博手戸 一郎
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1995 年 2 巻 3 号 p. 81-85

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抄録
凝固線溶系指標で急性心筋梗塞と肺血栓塞栓症の鑑別が可能か否かを検討した。胸痛,呼吸困難を主訴として搬入され最終的に急性心筋梗塞(n=8),肺血栓塞栓症(n=16)と診断された24症例を対象とした。各種治療開始前に採血してフィブリノペプチドA(FPA),フィブリノペプチドBβ15-42(FPBβ15-42),フィブリンおよびフィブリノゲン分解産物(FDP)を測定した。FPA(40.0±22.1vs.17.9±24.8ng・ml-1,mean±SD,p=0.0085),FPBβ15-42(34.1±20.8vs.12.8±8.7ng・ml-1,p=0.0044),FDP(37.5±36.7vs.6.3±6.5μg・ml-1,p=0.0022)は,いずれも肺血栓塞栓症が有意に高値となった。カットオフ値をFPA(20ng・ml-1),FPBβ15-42(15ng・ml-1),FDP(10μg・ml-1)に設定するといずれのマーカーも肺血栓塞詮症の診断に高い感度と特異度が得られた。急性心筋梗塞と肺血栓塞栓症の鑑別が困難な場合治療開始前に,FPA>20ng・ml-1,FPBβ15-42>15ng・ml-1,FDP>10μg・ml-1のいずれかを満たせば急性心筋梗塞より肺血栓塞栓症を強く疑うべきである.
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